大沢在昌

エンターテイメント

「糞ヤロウになるなっ!」

大沢在昌のハードボイルドを読んだ。大沢在昌の心は漢(おとこ)にあるようだ。だから読んでいるうちにウズウズしてきて力が漲ってくる感覚がある。

手当たり次第という感じで、大沢在昌の本を読んだ。何といっても、物語のクライマックスに差し掛かるところからのドライブ感に圧倒される。映画でいうならば、ベースとドラムが高なる心臓のビートを刻み続け、ときに閃光が放たれフィードバックされた図太い音が炸裂する感覚だ。この間は前へ前へと気持ちははやるばかりで、もはや本をおくことはできない自分がいる。映画的エンターテイメント小説である。

大沢在昌が描く物語の中で真骨頂なのが新宿を舞台に繰り広げられるハードボイルドだ。登場人物は刑事、ヤクザ、不法外国人、中国人マフィア、風俗嬢などが常時キャストとして顔を揃える。

大沢在昌が描く主人公はタフで自己の存在意義に忠実で、どこか社会から一脱した状態ながら突き抜ける衝動によって、どんどん自分を苦境に追い詰めていき満身創痍で突っ込んでいく。

「らんぼう」などは例外的に短編でシンプルで痛快無比である。電車などで時間を潰すにはもってこいだ、多少バイオレンス性は伝染してしまうかもしれないが。大沢在昌が書いたもので、現時点では「砂の狩人」が一番秀作であり一番熱くした。


漢(おとこ)が炸裂する。それは現代へのアンチテーゼでもある。

毒猿ケンカのできない男になるなと思う。ここに登場する男たちは命をかけて理不尽な事柄とか、不正義へ敢然と立ち向う。互いに信頼できるのは、男の品格を持ち合わせている人間だ。口が固く、会社に雇われない生き方をし、自分で考えて潔い行動をし、たっぷり顰蹙(ひんしゅく)も買うが、自分の中に自分だけの正義が確固として在りそれに命をかける。

そういう性格の男たちが登場し、物語を生き生きとしたものへ展開させているのは見事だ。相手が敵対する対象でさえ、そこには昔から気になって仕方がないような男の存在を感じざるを得ない。

ハードボイルドの良いところは、野暮がない。物語の成り行き上、あったとしても、主人公の目からは一瞥を食らい片隅に消えていくだけだ。そんなものより、そこには肥大した狂気が待ち構えていて、凛として対峙しなければならない。だから読後、嫌なわだかまりが残らないのだろう。

読者を魅了する大沢在昌の新宿鮫シリーズ

ミュージックプレイヤーはiPhoneやタブレットが主流

新宿鮫大沢在昌の著書でまずブレイクしたのは「新宿鮫」であり、それはシリーズとなって読者を大いに愉しませた。主人公は国家公務員採用I種試験に合格し、警察庁に入庁したキャリアであったが、警視庁公安部時代にエス(スパイ)を巡る意見の対立から問題を起こし、さらに警視庁内部のキャリア組に関する重大な秘密を、同期入庁の宮本から遺書として託されたことで、警察機構における特異な存在となってしまう。その結果、新宿警察署防犯課(現在は生活安全課)に転属させられて、警部のまま据え置かれて現在に至る。

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